読書感想文を書く
学校の宿題の定番「読書感想文」
印刷のプロ、本を作る側の目線から、読書感想文を書く時のポイントや本の選び方をお教えします!
特に保護者の皆さんが声掛けをしやすくなるように書いてみました。参考になれば幸いです。
本の選び方
【ポイント】
・読み切れそうな量、興味のあるジャンルの本にする
・どんなジャンルでもOK
・感想文を書く人が本を選ぶ←一番大事
読書感想文といえば「分厚くて、難しそうな本を選んで書くもの」だと思うかもしれません。
そのイメージはゴミ箱に入れましょう。そう考えるから難しくなってしまうのです。
最近は、マンガやゲーム、アニメを小説化したものもあります。
普段から知っているものが小説化していれば、きっと読みやすく、イメージしやすいのではないでしょうか。
(学生時代に、アニメ「ワンピース」の小説版で読書感想文を書いた本人が言っているので信じてください)
好きなアニメの本を検索する時は、「〇〇 ノベライズ」と入れるとヒットしやすいですよ。
他にも、絵本や図鑑で読書感想文を書いてもいいです。
(不安な場合は担任の先生に確認をとってからにしましょう)
大切なのは、「書く人自身が選ぶ」ことです。
学校からの指定がないのであれば、普通の小説でも、新書でも、小説化されたものでも、図鑑でもいいんです。
本屋さんや図書館で、書く本人が気になったものを選んでみましょう。
読む時のポイント
【ポイント】
・一気に読まなくていい(その代わり、メモを取りながら読む)
・「誰が何をした」のかを整理しながら読む
・思ったことをフセンに書いて、そのページに貼る
・分からない言葉は辞書をひいたり、インターネット検索する
まず、一気に読もうとしなくてOKです。
本を読むのは時間がかかりますし、そこまで集中できないこともあると思います。
ただ、ゆっくり読むと、前の内容を忘れてしまいがち。
そんな時は、「誰が何をした」のかを整理しながら読みましょう。
登場人物がたくさんいるなら、一人1枚ずつの紙に書いてもいいかもしれません。
いつ・何をしたときにどんな感情になったのかを、箇条書きしましょう。
「誰」が、「いつ」「どこで」「何を」したら、「どんな気持ち」になって「どんなこと」をしたか
これを意識するだけでも読みやすくなります。国語のテスト対策にも使えるのでオススメです。
また、読んでる時に自分で思ったことがあればどんどんフセンに書いてそのページに貼りましょう。
「すごい」「かっこいい」「気持ち悪い」「悲しい」「ムカついた」と一言でOK。
喜怒哀楽で4色のフセンを使うと、ぱっと見たときの印象が分かりやすくなります。
声掛けの時は、「本の内容を説明をしてほしい」「あなたはどんな気持ちになった」かを掘り下げましょう。
ビックリするような答えでも、ゆっくりと紐解いていくことで、考えを深めるきっかけになります。
書く時のポイント
文章の構成については様々なサイトに載っていると思います。
だから、ここでは、あえて、構成の中で「段落1つ分くらいになりそうな書き方」を挙げていこうと思います。
『本は全部読んだけど思いつかない』『もうちょっと書かなきゃいけないのに全部書き尽くした』という時に参考にしてください。
保護者の皆さんには、声掛けのきっかけの一つになるはずです。
1.主人公と自分を比べてみる
主人公と自分自身の、似ているところ・違うところを比べてみましょう。なぜそう思ったのか、その理由も書けるといいです。
「主人公の○○な部分が私と似ていると思った。なぜなら、小さい頃、私も◯◯だったからだ。」
「主人公の○○な部分が私と違うと思った。なぜなら、私なら××をするからだ。」
と書き始めたら、話を広げやすいです。
【保護者の方へ】
煮詰まってしまった時は、インタビューしましょう。お子さんが質問に答えるのが苦手な場合は、「はい」「いいえ」で答えられる質問(あなたは主人公と同じことをやる?同じように考える?など)がいいですね。
答えてくれたら、「なんで?」と聞いてあげてください。じっくり時間をかけて、言葉を待ちましょう。
突飛もない答え、とんでもない答えでも、叱らずに理由を聞いてあげてみてください。お子さんなりの経験や考えがあります。
本をきっかけに話し合うと、意外な発見や成長があるかもしれません。
2.物語の続きを考えてみる
「めでたしめでたし」と終わるようなお話であれば、そのあとの主人公たちはどのような生活をするか考えてみましょう。
魔王を倒した勇者は平凡な生活を送る?それとも新たな敵を探しに再び旅に出る?
主人公とその友人たちはどのような人生を送るでしょう?恋愛はうまくいく??そのまま結婚しちゃう???
どんな風になっていくかを妄想・想像してみましょう。
希望や願望を混ぜてもいいです。主人公以外にとってのハッピーエンドに変えてもいいです。笑
なんでそうなってほしいのか、理由をつけて書けばきちんとした内容になります。
そうやって考えるのも、本の楽しみ方のひとつです。
3.もしも日本だったなら…/もしも現代だったなら…/もしも自分の学校だったなら…
もしも、あなたの身の回りで、読んだ本と同じことが起きたらどうなるのかを考えてみましょう。
読んだ本と同じようにお話は進むのか。それとも全く違う方向に進んでいくのか。
終わり方はどうなるでしょう。
そもそも誰かが気づいて未然に防いでしまうのか(それに気づくとしたら誰なのか)、誰も何も気づかずにひっそりと終わるのか…
かぐや姫だって、もしも現代だったら読者モデルや女優になってるかもしれません。
桃太郎や金太郎だったら、動物と仲良くなることを生かして人気YouTuberになってるかもしれません。
浦島太郎は、玉手箱の仕組みを分析して、老けない技術を開発しているかもしれません。
いろんな「もしも」を考えてみましょう。
最後に伝えたいこと
読書感想文は時間がかかる宿題のひとつです。苦手だと感じる人が多いのも、また事実です。
しかし、読書は1つの世界を知るキッカケとなります。
「魔法のiらんど」や「peep」のような小説サービスがあるように、
日本の中だけでも無数の物語があり、それだけ多くの人が物語の書き手となっています。
学校の宿題が、さまざまな世界の入り口になってくれたら、印刷屋としてこれほど嬉しいことはありません。
(そして、新しい書き手となって一緒にお仕事できたら嬉しいです)
自分以外の誰かを考えることは、想像力を育て、心を育てることにもつながります。
多くの言葉に触れることは、自分のことや相手のことを正しく知る手助けになります。
「ヤバい」という言葉の中には「喜び」「楽しみ」「嬉しさ」「好奇心」「尊敬」が隠れているかもしれません。
「ムカつく」という言葉の中には「怒り」「悲しみ」「不快」「自分を認めてほしい」が隠れているかもしれません。
学校の勉強がすべてではありません。ひとつの機会としての読書になれば幸いです。